この曲だけ、他の曲と決定的に違うのは、オリジナルと極端に変わってることだね。
実は、『年代記(Chronicle)』をレコーディングした時、最初はこういうヴァージョンを録っていた。
つまり、スローなトリップホップ風のビートがあって、その上にオーケストラと合唱が乗っかってるというやつ。
でも、レコーディングを進めるにつれて、だんだん曲が大きくなっていき、最後には交響詩風になってきたんで、ビートが邪魔になってきたんだ。
ビートがあると、曲としてはある意味、聴きやすくポップになるけども、ビートっていうのはストーリーを壊す作用がある。だから、『年代記(Chronicle)』のような長い大作には、あまり合わないんだ。
だから、『年代記』では、序章にあたるMovement 1, 2あたりはビートを抜かして、本物のクラシックのシンフォニー風に仕上げることにした。
『年代記』自体の、アルバムの構成としてはそれでよかったと思う。ただ、あとになって聴いてみて、ビートが入ってるヴァージョンも、捨てがたい魅力があると思ったんだ。
それで『年代記』のリミックスを作ろうというアイディアが、今回また浮上してきたわけ。
とくに心残りだったのがこの『年代記』の2楽章で、これのリミックスはこのアルバム(「Trance-Rave Cosmology」)の中で一番最初にやった曲だった。
だからむしろ、このリミックスは、最初に僕が『年代記』をレコーディングした時の最初のヴァージョンに近いね。
でも、ドーターズがリミックスしてくれたやつは、僕が当時録っていたよりも、かなり大胆でユニークなトラックに仕上がったね。
これだと完全にダンスミュージックだから、また「別の曲」になったわけで、リミックスの意味があったと思う。こういうのは、リミックスならではの驚きであり楽しみだね。